ようやく書けた

生まれ変わったら、ひっぱりだこ 私です♪ってなりたい、いぬです。


ずっと続きを書いていなかった小説「桜の季節」の第三話がようやく書けました。
二話を書いた後に、一話完結にしなかったことを激しく後悔してました。
なし崩し的に強制終了させようかとも思っていたんですが、
このまま違う話を書き始めるのも、自分的に納得がいかないってこともありまして
書き続けることにしてみました。
これからも不定期になるとは思いますが、自分なりにちゃんと完結させようと思います。
では、宜しくお願いします(やけに低姿勢w)
ちなみに今までの話は左のカテゴリー「桜の季節」にまとめてます。よかったらどうぞ。
※モエちゃん、あまり活躍させられそうにないです。「ふざけるな!」って怒らないでぇ。



〜桜の季節〜 第三話



嗣永と出会った入学式の日から早一ヶ月。
学校中をにぎわせた芸能人騒ぎもだいぶ落ち着いてきたようで、
休み時間に隣のクラスが騒がしくなることも少なくなってきていた。


俺は、特に中学時代と変わらず、
勉強もそこそこに毎日遊びまくっている。
同じ中学出身の佐々木は嗣永と同じクラスだったらしく、
聞いてもいないのに「今日は桃ちゃん、髪結んでたぜ、キャワイー」などと色々報告してくる。


俺の悩みも知らずに。


『どうして、あの時、逃げちゃったんだろうな』
一ヶ月前、挨拶されて逃げ出したときから、隣のクラスには一度も行っていない。
こっちをまっすぐに見て、「嗣永桃子です」って挨拶してくれた彼女にあわせる顔がなかった。



『嗣永はあのときのこと、どう思ってるんだろう。何とも思ってないかな・・・・。でも、それはそれでなんか寂しい気がする』
そんなことを考えていたら、いつもはなかなか時間がたたないモエ先生の授業もあっというまに終わっていた。



放課後、佐々木が呼び止めてきた。
「おい、急いでちょっと来てくれよ」
「なんだよ、唐突に」
「桃ちゃんがお前を呼んでる」
「え?」
「なんかわかんないんだけど、お前のことを知ってたみたいでさ、とにかくこいよ」



しかたなくついていくが、突然のことに既に緊張しはじめていた。
「桃ちゃんに失礼のないようにしろよ」
なんだか佐々木はすっかりマネージャーきどりだ。



「桃ちゃん、連れてきたよ。こいつが何か迷惑かけたのなら俺が謝るよ。困ったらなんでも言ってよ」
ここぞとばかりに嗣永に愛想を振りまく佐々木。
そんな佐々木に笑顔で答えつつ、嗣永が口を開く。
あ、やっぱりそうだ。佐々木君の友達だったんだ。最初に会ったとき、
突然、走って行っちゃったから、私、なんか嫌な事言っちゃったかなぁって心配してたの

本当に心配そうな顔をして俺の顔をじっと見つめている嗣永。
「あ、いや、そうじゃなくて・・・ごめん」
なんて言っていいのかわからなかった。
よかったぁ、じゃあこれからは普通に友達だね♪
「ぇ、も、もちろん」
あんなことがあったのに、そうくるとは思ってもみなかったのであわててしまった。
この前と同じような俺のリアクションに彼女はニコニコ笑っていた。



学校からの帰り道は予想通り、佐々木から質問の嵐だ。
誤解を解くために、熊井ちゃんの話をしようかと思ったけどそれはやめておいた。
「これから桃ちゃんと話をするときは必ず俺も呼べよ」
さっぱり意味不明なことをいっている今のこいつに何を言っても無駄だ。
「桃ちゃんはみんなのアイドルなんだから、好きになるなよ」
「いや、別に好きとかそんなんじゃねえし・・」


最後の俺の言葉に安心したのか、佐々木は気をよくして帰って行った。



嗣永の言葉。
「じゃあこれからは普通に友達だね」
ちょっと前までは熊井ちゃんに夢中で、嗣永のことなんてなんとも思っていなかった。
でも、あんな風に言われちゃうと・・・・。
大きな瞳でこっちをじっと見つめていた。
思い返すと不思議なほど心臓が高鳴ってくる。
好きになっていた。



明日はこっちから話しかけてみようかな。でも、急に馴れ馴れしくなったら俺のこと嫌いになるかな。



【ねぇどうして すごくすごく好きなこと ただ伝えたいだけなのに・・・】
ラジオから流れているドリカムの「LOVE LOVE LOVE」がやけに切なく聞こえた。